尿路結石症とは
尿の中に含まれているカルシウム、尿酸、シスチン、マグネシウム、アンモニウム、リン酸塩などの成分は、シュウ酸などと結びついて結晶化し、石のように固くなることがあります。これが結石です。
尿路結石症とは、腎臓の内部や尿管、膀胱、尿道などに結石が出来る疾患であり、初期の段階では目立った症状はありません。結石が小さいときは、尿と一緒に体外へと排出されることもよくあります。しかし、徐々に結石が大きくなっていき、尿管などを詰まらせると、激しい痛みが発生します。さらに、尿路感染症を引き起こすこともあります。
男性の方が2倍以上も発病する確率が高く、特に30~50歳代で好発します。女性の方の場合は閉経後に発症しやすくなると言われています。
結石が存在する場所によって腎結石(腎臓の内部に結石がとどまっている状態)、尿管結石(腎臓と膀胱をつなぐ管にある結石)、膀胱結石(膀胱内)、尿道結石(膀胱から体外に尿を排出する管にある結石)に分けて呼ばれることもあります。
このような症状の方は泌尿器科の受診を
など
主な原因
結石の成分には幾つかの種類がありますが、全体の約8割はカルシウム結石(シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム)です。すなわち、カルシウム結石が出来やすくなる生活習慣を続けることが尿路結石症の引き金となるのです。
例えば、葉物の野菜(ほうれん草など)、タケノコ、日本茶、コーヒー、チョコレート、ピーナッツにはシュウ酸が多く含まれています。通常、シュウ酸は腸内でカルシウムと結合し、便と一緒に体外へ排出されます。しかし、食事でのシュウ酸の摂取量が多いと、この成分が尿に入り込み、尿中でカルシウムと結合しシュウ酸カルシウム結石が作られてしまうのです。
この他、副甲状腺機能亢進症や尿細管性アシドーシスなどの疾患がある人、水分やカルシウムの摂取が不足している人なども結石が出来やすくなりますので注意が必要です。
尿路結石症の治療法
など
薬物療法
結石の大きさが4㎜程度よりも小さく、特に痛みなどの症状がないときは、尿管を広げて排石を促す薬物療法が行われます。これにより、結石が体外に自然排出されるのを待つのです。但し、1か月以内に排石されないときや早期に解決を望む場合は、次の体外衝撃波砕石術や経尿道的内視鏡手術などを検討します。
体外衝撃波砕石術 (ESWL)
身体の外から衝撃波を照射して結石を砕き、尿と一緒に排石させる治療法です。通常、1~2日程度の入院で済みますし、症例によっては外来治療でも対応できます。侵襲性が少ないので、小さめの結石のときはよく行われますが、結石のある場所や種類によっては砕石に時間がかかることもあります。その場合は、次の経尿道的結石砕石術などを検討します。
経尿道的結石砕石術 (TUL)
尿道から細い内視鏡を挿入し、尿路にある結石をレーザーなどで破壊する方法です。結石が細かくなりますので、これを手術中に取り出したり、尿と一緒に排出することが出来ます。入院期間は数日~1週間程度です。治療効果の高い手術としてよく行われていますが、結石のサイズが大きかったり、結石周辺部の状況によっては内視鏡下での砕石が難しいこともあります。その場合は、次の経皮的腎砕石術を行います。
経皮的腎砕石術 (PNL)
背中の皮膚に小さな穴を開け、そこから内視鏡を挿入し、結石を砕石する治療法です。比較的に大きめな結石も取り除くことが出来ます。入院期間は数日~10日間ほどかかることが多いです。
開腹手術
以前は尿路結石を取り除く方法として広く行われていましたが、現在は低侵襲な経皮的腎・尿管砕石術などで対応可能な症例が増えましたので、激減しています。但し、一部のケースでは開腹手術が必要となることもあります。
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